工場レイアウトの全体を把握し詳細を決定するデザインプロセスにおいては、誤った判断をしたり間違いの発見があまりにも遅くなったりすると、そのために失われた時間とやり直しのために、数万ポンドの費用を要する可能性があります。
残念なことに、レイアウトは常に正確に把握されているわけではなく、また、情報の更新が行われていないこともあります。これは、新しい機器の設置や施設の再建に際して、ある程度の不確実性を生じさせます。また、間違いを防ぐために現場に出て測定を行い、写真を撮り、記録のため重要な詳細事項を書き留めなければならないというのであれば、従業員の無駄な動きも生じさせます。
幸いなことにレーザースキャナー技術は、製造業界のために、いくつかの新しい可能性を提供できます。現在の最新型の点群ソフトウェアとアプリケーションでは、レイアウトデザイン工程の作業を、高速かつ効率的にサポートしています。この技術は利益を生みだすのです。
真価を実証したレーザースキャニング
ロンドンに本社を置き、建築、構造、インフラ業界向けの測量と3Dレーザースキャンを事業としているRed Laser Scanningが、先ごろ、ROCKWOOL Ltdのウェールズ工場のために3Dレーザースキャンに関する専門知識を提供した際、この技術の能力が実証されました。サウスウェールズのブリッジエンドに1つの工場を持ち、英国全土に500人を超える従業員を擁するROCKWOOL Ltdは、建設業界向けに高性能かつ持続可能な断熱材製品を幅広く提供している会社です。
今回、同社では、As-Builtキャプチャとモデリングの一環として必要となった、機器アップグレードの間でのインターフェイス確立のために、サウスウェールズの施設の9,585平方メートルの敷地を記録に収めようとしていました。
その目的を達成するため、Red Laser Scanning は、FARO® Focus プレミアムレーザースキャナー、FARO® Focus S70、およびトータルステーションを使用しました。スキャン結果は球体、チェッカーボード、および手動ターゲットを含むターゲット登録(登録は、スキャン間で共通した参照位置を使用して、親座標系の中に複数のスキャンを整列させるプロセスです)により記録されました。また、同社は、測量制御の適用も行いました。
プロジェクトの課題の中でも主要なものの1つとなったのは、ほとんどの機器が互いに近接して配置されているこの工場の限られたスペースの中で、Focusスキャナーを使用した測定を実施することでした。Red Laser Scanningは、必要なすべての詳細をキャプチャするために機器間の隙間にスキャナーを配置して、多数の追加的なスキャンを実施する必要がありました。
結果は明快
同社の専門知識、さらに、ハードウェア、ソフトウェア、クラウドベースのSaaSコラボレーションプラットフォームを含むFAROテクノロジーを活用し、このプロジェクトは対象エリアの点群データを適切に提供して完了しました。
データの処理と登録はFARO® SCENE Softwareで行われ、Autodesk® RECAP (.rcp)形式で提供されました。SCENEでは、ユーザーが現実世界の物体や環境に関し素晴らしい3Dの可視化を行なうことができ、またそのデータは、さまざまな形式でエクスポートできます。さらにRed Laser Scanningは、ウェブベースのプロジェクト管理ツールであるFARO WebShareを使用し、そのメリットも得ています。
繰り返しになりますが、Red Laser Scanningは、データの可視化やコミュニケーション、詳細な情報の迅速な収集、データのシミュレーションや検証などの多様なツールをこのプロジェクトに導入し、さまざまな基準に照らしてそれらの価値を証明しています。
同社の事業開発マネージャーであるNick Forrest氏が、FAROのテクノロジーを使用することのその他の利点を、さらに詳しく説明してくれました。
- 点群の力 — 点群は優れた情報媒体であり、位置の記録情報の適合、あるいは単純な更新用の視覚化補助として容易に使用できます。また、対象の場所を遠隔地で表示および調査することも可能にします。
- 非常に大きな測定性 — 測定の可能性が広いので、対象物との干渉を心配することなく、単一点および距離の測定が可能になります。この方法により、建物と床の平面度を測定するための従来のアプローチを、一定の範囲で置き換えることができます。
- 高機能のソフトウェア — SCENE のようなソフトウェアは、既存および将来のレイアウト、モデル、および据え付けについて、高度なシミュレーションと検証を実行できます。さらに、点群の一部に対しての色付けや、非表示化、削除、複製、または変形などが可能で、既存の2Dレイアウト図面や3D モデルを、点群に関連付けて検証することができます。また、関連付けられた対象物を、衝突による接触、または変化分についてシミュレートすることができます。
FAROとの今後
最終的に、Red Laser Scanningのチームは、FAROの3Dレーザースキャン技術、特にFocusスキャナーを採用したことでROCKWOOLプロジェクトの完了は大幅に早くなり、同社では、かなりの額の予算を節約できたと述べています。また、ROCKWOOLも顕著な優位性を認識しており、将来において施設のアップグレードや機能強化を行う際は、Red Laser Scanningの協力を得る予定だと表明しています。
「私たちは、効率的なサービスや、高品質かつ精密なAs-Builtの作図とモデリング、さらに柔軟性のあるアプローチを提供することで、業界のプロフェッショナルとの間で長期的な関係性を築くことを目指しています」と、Red Laserの最高経営責任者、Pawel Sipta氏は言います。「FAROのFocusプレミアムレーザースキャナーは、その目標を達成する助けになるでしょう。」